8月13日は、やたらとハーブ・リッツがソーシャルメディアに出てきてませんでしたか?
あれ?
と思ったら、有名人の間では、この人もあの人も競って彼に撮ってもらったという写真や彼とのツーショットの写真を掲載していました。
ハーブ・リッツとは、私の年代の人だと知ってると思いますが、アメリカの有名写真家で、2002年に肺炎により50歳という若さでこの世を去ってしまった人です。
なんで今更?
命日なのかな?
と思いましたが、なんと
お誕生日でした。
なるほど。
ハーブ・リッツは、私が東京で広告業界で仕事をしていた時(80年代です)に、ブルース・ウェーバーとかスティーブン・マイゼルとかのファッションフォトグラファーと共に、ある意味一つの時代を作ったと言ってもいいと思います。
ハーブ・リッツはオリビア・ニュートンジョンの「虹色の扉(フィジカル)」のジャケット写真でデビューしたんですよねー。
その時は私もまだ若すぎて、彼女のレコードジャケットのアルバム写真を撮った写真家のことなど全然気にも留めていませんでしたが、同じポーズで似たように撮られたマドンナの「トゥルーブルー」のレコジャ写真には衝撃を受けました。
う・つ・く・し・い!
それが、ハーブ・リッツ撮影だったんです。
元々写真が好きだったし、職業柄も海外雑誌とか見るようになったのですが、当時はスーパーモデルという人たちが登場した時代でもあり、ハーブ・リッツが撮ってヴォーグとかに特集されていたシンディー・クロフォードとリチャード・ギアとかジェシカ・ラングとサム・シェパードのカップルなどの超自然な写真は、感動的でもありましたねー。
最近、テスラとかイーロン・マスクとか、その辺のテクノロジー系の話にアンテナが行ってしまっているように聞こえますが、私は本来、なんでもとっても泥臭いのが好きなタイプなんですね。
ハーブ・リッツってすっごい写真のクオリティーは繊細で洗練されていますが、撮るものは超泥臭くて人間の臭いがプンプンしてくるようなものだと思います。
私が好きな世界なんですよねー。
男性のタイプも汗たらたらで肉体労働者的人の方が、知的なホワイトカラーの裕福層よりも好きだし、トラック野郎の高倉健みたいな感じ、大好きです。w
頭には手拭い巻いて片手で大きいトラックをパラレル駐車している姿なんてもう最高❤️
と思ってしまいます。
そういう世界のアメリカ版が見えてくるのがハーブ・リッツかな。
ハーブ・リッツの写真の中で好きなのがコレ↓
とか
とか。
きゃー。
かっこよくないですか?
筋肉モリモリで力強い男性って感じで。
やっぱり自分にないものに憧れるというかね。
手とか指先もオイルで汚れちゃう、みたいなの。
実際にはそういう男性とはあまりお付き合いしたことはないので、あくまでもこれは妄想の世界なのですが。w
ハーブ・リッツもHIVポジティブだったのですが(死因の肺炎はHIVポジティイブだったことには直接的には関係がないそうです)、当時は80年代で、エイズがやたらと流行っていましたよね。
ファッションフォトグラファーの中には同性愛者も多く、ロバート・メイプルソープなど同様に若くして命を落としている人が多いというのはなんとも残念な限りです。
ただ、同じぐらい残念なのは、昔活躍していた多くのファッションフォトグラファーが、数年前に起きた#MeToo運動に告発されて、セクシャルハラスメントで訴えられ、業界から追放されてしまったという事実です。
残念なのは、追放された、という部分ではなくて才能ある人たちが被写体(モデルたち)に圧力をかけて仕事をしいていた、という部分です。
スティーブン・マイゼルやマリオ・テスティーノもそれで、一切名前を聞かなくなりましたね。まだ生きているのに。
今までの仕事の業績は輝かしいものとして残しておきたいのに、過去の芸術作品さえも見ている私たちが疑いの目で見るようになってしまったこと。
個人的にはとっても悲しいです。
カメラマンとの撮影はとっても「密」でありある意味とてもエロティックでないと優れた芸術作品が撮れないという考えもわかるのですが、微妙ですよね。
ハーブ・リッツはそういうセクハラ告発運動の前に亡くなっているので、関係ないと信じますが、昨日はそれでも最近の業界の風潮にやや複雑な思いで、昔の懐かしい写真にライクをたくさんつけていました。