今週の初めに成田悠輔という人の記事がニューヨークタイムスに出ていました。
というか、記事が一面にでた(らしい)時は気がつかなかったんですが、次の日にフォローしているNYTのインスタに彼の顔写真付き投稿が出ていたのを見て知りました。
あれ?
この人?
以前どこかのユーチューブ動画を見たことがあり知っている顔だったので、直感的に亡くなったのかなとびくっとしてしまったのですが、そうではなかったのでよかったです(最近色々な方の突然の訃報が多くて悲しいばかりなのですね)。
NYTの記事は高齢者の集団自決を促すような成田悠輔の発言についてでした。
成田悠輔はアメリカでは学界でもオンラインの世界でも全く知られていないのにアイヴィーリーグの肩書をうまく利用してソーシャルミディア上では日本人の心を掴んでいるとか、あまり好意的に書かれていないとすぐわかりました。
記事の最後は成田悠輔が博士号をとったらしいMIT(マサチューセッツ工科大)の恩師のネガティブコメントで締めくくられています。
「彼は優秀な研究者なのに最近は他のことに気をとらわれ過ぎているように思う。もう少し自分の研究に集中してほしいのにそれが残念です」
名前から見ると記事を書いた2人のNYT東京在住ライターは日本人かまたは日系であると思われます。
彼らは明らかに成田悠輔とかその辺の日本で人気だと言われているユーチューバーたちのことをよく思っていないんだな、ということは明らかでした。
記事中にもちらっと出てくる西村博之とか堀江貴文のことをジェネレーションXを扇動する人として説明していますが、その形容も笑えます。
事実かもしれませんが、英語で読むと相当ひどい印象だと思いました。日本語でもそうかな?
西村博之:もっとも有毒なアイデアを生み出すオンライン掲示板の4チャンネルを運営するセレブ起業家
堀江貴文:かつて犯罪を犯して刑務所入りしていた無礼な言葉遣いの実業家
です。
どう思いますか?
あまり好感持って書いてる文章じゃないですよね?
彼らのしていることは(多額の賠償金を逃れるために外国に住んでいるとか、投資家と名乗り虚偽や偽計取引を操作していたとか?)煙のないところに火花は出ないということだし確かに好ましいことではないと思います。
この時点で人間として許せない、と思う人もいるでしょう。
ただ、ユーチューブで言っていることを一つ一つ聞くと、まともなことや斬新なビジネスアイデアだったりすることもあるし、すごいなと思うことがある、というのも事実だと思います。
日本では多分、後者で受け入れて賛同している人たちが多い、ということも記事を書いた人たちにしてみたら理解しがたいことなのかもしれません。
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NYTのインスタ内のコメント欄では「優生学がとうとうイェールにまで戻ってきたか」とか「ナチ再来」とか「二宮尊徳の謙虚な教えを知らないのか?」などなど、さまざまな意見に展開され盛り上がっているように感じました。
でも、別にこれは炎上しているわけではないと思います。
アメリカ人など英語圏の人たちは意見の交換が好きなので、記事を読んで感じたことや意見を普通に述べているだけだと思います。
日常的によくある話です。
ニューヨークタイムズの「ブレーキングニュース」は毎日メールが届くのでいつもすぐに読んでいるんですよね。
サブスクしていますから。
でも見逃してしまうぐらいの扱いでした。
つまり成田悠輔の記事はブレーキングニュースでは扱われないぐらいの小さい記事で下の方に出ていただけってことなんですね。
ただ、記事として出たのは事実だし、NYTぐらいの超有名メディアに出るというのはそれなりに話題性もあるのでそりゃあいろいろとネタになるだろうなと思います。
彼の発言そのものについては「日本人としては」理解できるという部分もあるし、英語圏で生活する者として考えるととっても危ない発言だと確かに思います。
その2つの見解の間を行ったり来たりして、なんとも複雑な気持ちになり、結果的には三島由紀夫の自決についてのユーチューブ動画をあさっていたという始末です。
成田悠輔から三島由紀夫へつながるとは深いなあと自分でも思いつつ、そこで私なりに思ったことがあったので書き留めたいなと思いました。
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結論から言うとこう言う話になった時に「日本人としては」という部分が前に来てしまうという事実が問題なんじゃないかなということでした。
そして、その「日本人らしさ」とか「日本人なら理解できる」という部分は決して言葉で説明できない部分である、というのが今のグローバル社会では通用しないことなのではないかなと思います。
昔、ニューヨークのグリーニッチヴィレッジで韓国人とアパートメントをシェアしていたことがありました。
その時に彼女が言っていた言葉を思い出します。
「韓国は戦争に負けているし色々とひどい目にも逢っている。そこから生まれた感情はとてもネガティブなんだけれど私たち韓国人にとってはそれが韓国人の証しでもあり、韓国人同士はその気持ちをわかち合って話をするのが好きなのよ。どこかで愛おしくさえ思えるの」
と言うこと。
そういう複雑な感情のことを「恨(ハン)」と彼女は言っていたと思いますが、その気持ちは日本人や他の外国人が理解するのはむずかしいだろう、とのことでした。
成田悠輔の「集団自決」や「切腹」発言はそういう韓国人にしかわからない感情と同じぐらいの深い日本の歴史的且つ社会的事実、そして伝統的侍魂というかむしろ世界からはクレイジーと思われた「神風特攻隊」などにも見られる国家主義を信じていた日本人魂が理解できていないとわからない発言であるのかもしれません。
問題となった成田悠輔のオリジナルのユーチューブ動画も見ました。
うーん。
なるほどね。
言葉というのは独り歩きもするし、怖い武器にもなるっという例だとも思いました。
読み取る側によっても人それぞれですからね。
日本の血が入っている私には理解できます。
でも...
わかるんですが、だったらそれを言葉でしっかりと全世界に説明できないといけない世の中になっている、ということなのだと思います。
昔、当時の故安倍首相が8月15日の終戦記念日に全世界へ向けて世界平和のメッセージを出していたニュースを見ましたが、なぜ日本語で言っていたのかとても不思議でした。
全然、届いてない、と思いました。
英語でより多くの人の心に刺さるメッセージを送ることができないと世界平和のメッセージの意味がないのではないか?
安倍元首相は英語だってできたはずなのに、当時がっくり来たことを覚えています。
今回のNYTの成田悠輔の記事を読んで、その時同様に彼の意味するところがきちんと世界に通じていない、というか、ごく一部の人にしかわからない言語で語られている説明しきれていないある種の消化不良みたいな感覚を感じた次第です。
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年功序列みたいな古い制度や高齢者問題。
同時に若い世代には少子化が進み、人口減少問題や今後の年金制度など、日本には革命を起こさないといけないぐらいの社会問題がたくさんありますよね。
本当に日本を変えないといけないと思っている人に言わせると破壊的な改革が必要なわけで、そういうことを踏まえた上で「メタファー」的に「集団自決」というような過激な発言が出たと解釈するのか。
でも本人ははっきりと「メタファーじゃない」と言っているようで(その動画も見ました)その辺はかなり危ない感じがします。
NYTの記事中には「イェール大学からはこの件に関するコメントはありません」と書いてあったけれど、記事が出てからイェール大学は速攻でDr. Narita のプロファイル欄を変更していました。
他の誰のページにも書かれていないのに彼のページにだけ「メディアおよび学術研究に関する成田教授の意見は彼自身のものであり、イェール大学(経済学部)の見解を表すものではありません。この免責事項は、彼の過去の発言に関するニュース メディアの報道に適用されます」と書かれています。
いずれにしても命が最も尊いものでレイプされてできたような胎児でも中絶行為が認められないような世の中になってきています。中絶行為も政治に影響を与える最も強い要因の一つとして賛否が巻き起こるのがアメリカです。
自決だと言っても命を断つという行為は明らかに現代社会が許すわけがありませんし、日本人には語り継がれた日本人の心でも、外国人には理解できないのが当然で、イェール大学がとった対応は正しいなと思います。
成田教授はまだこの頃はシグネチャーメガネじゃないんですね。とっても若い感じがしますけど。最近のに変えた方がいいと思いましたが、これは多分、作った当初のまま放置されている、ということですね。
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そもそもが「自決」って何?
ということになると思うのですが、自決とは国家レベルの大きい責任を取るためにとる行為ですよね?
人生が辛いとか逃げるための行為ではなくて。
切腹のことを日本びいきのアメリカ人はよく「ハラキリ」と言いますが、その言葉は「カミカゼ」同様、日本人の侍魂を反映している言葉だと思います。
「国家主義に洗脳されたクレイジーな狂信的集団」と称され、集団自殺を引き起こす宗教的カルトグループにも似たカリスマらしきリーダーの存在が当時の神と崇められた昭和天皇でした。
戦争の敗北とともに昭和天皇は神から人間へと格下げされたことはみなさまも「日本人なら」ご存知だと思います。
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というところから検索していたら結局、三島由紀夫にたどり着いてどーっと落ち込みました。
一番最近で切腹をした人って三島由紀夫ですからね?
私はその時の映像をなんと当時、ニュースで見てました!
あの時の三島の姿はそれはそれは子どもの私にとっては衝撃的でした。
霞ヶ関ビルが爆発してビジネスマンたちが道路に倒れていたニュースと並んで、一生心に残る映像となっています。
三島事件の動画を探して見たのですが改めて、三島由紀夫とは、狂ってるなと思いました。
高校生の時に「金閣寺」を読んで以来「かっこいい」とずっと思っていましたが、ある意味とても男気がありチャーミングで魅力的な人であることは確かです。
男色だったと噂されていたこともありどことなくセクシーで妖艶だったのも子どもながらに感じていたのでしょう。
三島の文学はどう考えても私には理解できていなかったと思います。それなのに「かっこいい」と思ったのは彼は日本人が素晴らしいと誇りに思う侍魂を持っている人だったからだと思っています。
江戸時代中期に書かれた書物の「葉隠(はがくれ)」には、「武士道とは死ぬことである」と書かれてあるそうです。
三島由紀夫もその書物を引用しているインタビューが残っていて「生か死かいずれか1つを選ぶのであれば、死をとるべきだ」と言っています。
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英語で「mass suicide」っていうのは集団自殺のことですが、英語圏でのイメージ的には1970年代に起こったジム・ジョーンズの誘導による「革命的行為」としてのものが有名だと思います。
実際にこの事件は2001年に同時多発テロが起こるまでアメリカ民間人の最大犠牲者(918人)が出た事件と記録されています。
で、ここで考えるのが、何のために命を断つか、ということなんですよね。
ジム・ジョーンズによる集団自殺は革命を起こして世の中を変えることでした。
彼はプロテスタントの牧師で、貧困や人種差別などさまざまな社会的福祉にも目を向けて平和活動もたくさん行っていた人ではあるのですが、その裏では実は社会主義を崇拝する共産主義者であったそうです。
ウィキピディアにも「マルセリーヌ・ジョーンズ(ジョーンズの妻)は1977年のニューヨーク・タイムズでのインタビューで、ジョーンズは信者達を動員して、特に毛沢東から着想を得たマルクス主義をアメリカ合衆国に宣伝しようとしていたことを認めた」と書いてありました。
「もし平和に生きることができないのであれば、平和に死ぬことを望む」と死ぬ直前の演説で言ったそうです。
なかなか哲学的なことを言うなとは思うのですが、実際は全然平和に死ねてませんよね。
三島由紀夫の場合は、このままではだめになると思った日本政府へ向けての「抗議」だったと理解しています。
三島由紀夫同様、ジム・ジョーンズもゲイだったとの噂もあるし(彼か信者たちをセックスでコントロールしようとした性生活が書かれたものは英語でたくさん出ています)、集団自決と言われている事件の裏にはもしかしたら単純に妖艶な性のもつれで生じたゴタゴタがあるのかも?
とドラマ性を探ってしまうのは私だけでしょうか?
(三島由紀夫の場合は、殉死した森田必勝との恋仲が噂にあります。自決をショックに奥様は寝込んでしまったとウィキピディアに出ていましたが、本当にショックだったのは、森田と一緒に亡くなったことかもしれませんよね。国家がどうのとか政治がどうとかむずかしいことを挙げていても、実際には男女・または男同士のもつれた嫉妬や悲しみなどの感情が現実生活を操っているのかもしれません。)
なーんて。
とここまで書いてすでに5000文字を超えてますねー。
軽く書くつもりが長作になってしまいました。
きゃー(怖)
いやあ。
それにしても今改めて見ても三島由紀夫ってやっぱりサイコパスに通じる魅力がありますね。
しーかーもー。
全然知りませんでしたが、英語がなんともお上手です!
びっくり。
さすがーっ。
やはりただものではなかったんですね、と言うことがわかりました。
むかーし読んだ「仮面の告白」もう一度読みたくなりましたねー。
作家としてはやはり天才だと思ってます。
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まとめ:インターネットに情報を出す際の注意事項
1)インターネットが普及し、国を超えたところでの情報がたくさん得られる世の中では、「みんな」に誤解のないように理解してもらえる言葉を放つことが大切(キーワードはインクルーシブ!)
2)コロナという世界的に厳しい状況を世界中が一つになって乗り越えようとしている今、世界は一つなんだ!という意識を持って国際基準を持つことも大切
3)「言わなくてもわかる」という現象は幻です
4)そして「他の人にはわからない」という一部のカテゴリーに属する人しか理解できない情報を公の電波やインターネットという場で発表するのは誤解を生じる元になるから気をつけた方がいい
5)それでも発表するのであればしっかりと相手がわかる言葉で説明をつけること
6)意見の交換は必ずしも炎上とは違う。日本人はもっと気軽に討論することにも慣れましょう!違う意見を容認するのは幸せ度を上げることにもつながります!